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       題しらず 布留今道  
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   知りにけむ  聞きてもいとへ  世の中は  浪の騒ぎに  風ぞしくめる
          
     
  • いとへ ・・・ 嫌え・避けよ・身を守れ (厭ふ)
  • しくめる ・・・ 折り重なってくる (頻く)
  
すでにご存知だろうが、話に聞いただけとしても、避けておきなさい、世の中は波の騒ぎに、風が追い打ちをかけて吹き荒れるものです、という歌。  

  普通は風が起こって波が立つ、と言うところを、逆にほんのささいな出来事でもそれを増幅させるような風説が流れ易い、そんな世の中に付き合うな、と言っているようである。恋歌四に置かれている 722番の素性法師の「そこひなき 淵やは騒ぐ」という歌を口語調にして、説教臭さを加えたような感じの歌である。 "しくめる" の 「める」は、婉曲の助動詞「めり」の連体形。この 「めり」を使った歌の一覧については 1015番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/25 )   
(改 2004/02/13 )   
 
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