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       布引の滝にてよめる 在原行平  
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   こき散らす  滝の白玉  拾ひおきて  世の憂き時の  涙にぞかる
          
     
  • こき散らす ・・・ 振り落として撒き散らす
  詞書にある 「布引の滝」は兵庫県神戸市中央区葺合(ふきあい)町にある布引雄滝・夫婦滝・瀧鼓滝・布引雌滝の四つの滝の総称。歌の意味は、
滝が白玉のように撒き散らす水滴を拾い集めておいて、世の中が辛い時の涙用に借りよう、ということ。 "拾ひおきて" という言葉が歌を引き締める効果を持っている。

  「こき散らす」という言葉は 1005番の躬恒の 「冬の長歌」でも 「玉の緒とけて こき散らし」と霰(あられ)が降る様の譬えとして使われている。 「こく (扱く)」という言葉を使った歌の一覧は 56番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/04 )   
(改 2004/02/03 )   
 
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