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       題しらず 読人知らず  
732   
   堀江こぐ  棚なし小舟  こぎかへり  同じ人にや  恋ひ渡りなむ
          
     
  • 堀江 ・・・ 掘って造った水路
  • 棚なし小舟 ・・・ 左右の内側に棚のついていない小舟
  • こぎかへり ・・・ 舟を漕いで帰り
  
小さな舟が運河の決まった場所から出てそこに帰って来る様子にかけて、前の恋人を何度も思い返し恋続けるだろうか、という歌である。 「堀江」は 「難波(の)掘江」(現在の大阪府大阪市を流れる大川)か、とも言われている。

  この歌では、小舟が揺れながら戻ってくるイメージを心の揺れに合わせているが、恋歌一に置かれている次の読人知らずの歌では、「大舟」がゆっくりと揺れる様を物思いの様子に合わせている。

 
508   
   いで我を  人なとがめそ  おほ舟の    ゆたのたゆたに   物思ふころぞ
     
        「恋ひ渡る」という表現を使った歌の一覧は 180番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/08 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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