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       人にあひてあしたによみてつかはしける 在原業平  
644   
   寝ぬる夜の  夢をはかなみ  まどろめば  いやはかなにも  なりまさるかな
          
     
  • いや ・・・ ますます、という意味を添える接頭語 (弥)
  
一緒に寝た昨日の夜の夢をはかなく思って、まどろむと、ますますはかない気持ちが増してしまった、という歌。 616番の同じ業平の「起きもせず 寝もせで夜を 明かしては」という歌にも似たけだるい感じのする歌で、「はかなし」という言葉が繰り返されているのが特徴である。 「はかなし」という言葉を使った歌の一覧は 132番の歌のページを参照。

  この歌の "夢をはかなみ" は、 497番などにある 「〜を+形容詞の語幹+み」というかたちになっているが、 640番の 「別れを惜しみ」や 653番の 「名を惜しみ」の 「惜しみ」と同じく、単に 「はかなむ」の連用形と見てよさそうに思える。ただし、
「古今和歌集全評釈  補訂版 」 (1987 竹岡正夫 右文書院 ISBN 4-8421-9605-X) でも「古今和歌集全評釈(中)」 (1998 片桐洋一  講談社 ISBN4-06-205980-0) でも 「〜を〜み」のかたちとしているので、当時は 「はかなむ」という動詞の使い方はなかったのかもしれない。

  「いや」(=ますます)という接頭語を使った歌には次のようなものがある。

 
     
644番    いやはかなにも  なりまさるかな  在原業平
819番    いや遠ざかる  我が身かなしも  読人知らず
1005番    いや固まれる  庭の面に  凡河内躬恒


 
( 2001/11/07 )   
(改 2004/02/23 )   
 
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