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       題しらず 壬生忠岑  
602   
   月影に  我が身をかふる  ものならば  つれなき人も  あはれとや見む
          
     
  • あはれ ・・・ いとおしい
  
月と我が身を替えることができるなら、つれないあの人も関心を持ってしみじみと見てくれるだろうに、という歌。一つ前の 601番と同じ忠岑の 「つれない人を恨む歌」である。これらは、有名な 625番の「有明の つれなく見えし 別れより」という歌の前振りのようにも見える。

  譬えの対象は別だが、562番の友則の 「蛍」の歌も 「光見ねばや 人のつれなき」と言っている。また、「月として仰ぎ見る」ということでは、仮名序の最後の「歌の様をも知り、ことの心を得たらむ人は、大空の月を見るがごとくにいにしへを仰ぎて、今をこひざらめかも」という文章が思い出される。 「つれなき人」という言葉を使った歌の一覧については 486番の歌のページを、「あはれ」という言葉を使った歌の一覧は 939番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/04 )   
(改 2004/02/25 )   
 
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