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       題しらず 読人知らず  
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   忍ぶれば  苦しきものを  人知れず  思ふてふこと  誰にかたらむ
          
        一人耐え忍んでいると苦しいものだが、人知れずにあの人を思っているということを誰に語ろうか、語る人もいない、という歌。

  素直に見ればこの歌の 「忍ぶ」は 「忍んで恋をしている」ということだが、505番の歌のページの 「忍ぶ」と 「偲ぶ」の区分けで考えると、「忍ぶ」には 「耐え忍ぶ」という意味を重点に置き、「恋しい」という気持ちは後ろの 「思ふ」でフォローしていると見ておきたい。 「しのぶ」という言葉を使った歌の一覧は、その 505番の歌のページを参照。

  「人知れぬ思ひ」を誰に語ろうか、というのでは 「人知れぬ思い」という言葉と意味が衝突するので、「人知れず思っているということ」と 「思ふてふこと」としている点が、細かいことだが、歌に理を通しているように感じられる。 「〜てふ」という表現を持った歌の一覧は 36番の歌のページを参照。 「人知れぬ思ひ」の歌の一覧は 496番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/20 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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