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       しのぶぐさ 紀利貞  
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   山高み  つねに嵐の  吹く里は  匂ひもあへず  花ぞ散りける
          
        「あらシノ フクサとは」に題の「忍草」が含まれている。 「忍草」は 200番の歌などにも使われており、現在でいうノキシノブのこと。

  歌の意味は、
山が高いために常に強い風が吹く里では、咲き誇ることもできないまま花は散ってしまう、ということ。 "山高み" のような 「名詞+形容詞の語幹+み」というかたちの言葉を使った歌の一覧は 50番の歌のページを参照。 "匂ひ" は 「美しく咲く」という意味。 「匂ふ」という言葉を使った歌の一覧は 15番の歌のページを参照。 "つねに" という言葉は、どこか浮いていて、物名の歌を続けて読んでいると、ここに隠し題がありそうな感じもするが、もちろん 「みつね(躬恒)」ということではない(紀利貞は881年に没している)。

  この歌は、249番の「むべ山風を 嵐と言ふらむ」という文屋康秀の歌を思い出させ、また 363番の貫之の「山下風に 花ぞ散りける」という歌は、雪を花と見た歌だが、この利貞の歌と 「強風に花」という点で少し似ている。 「花ぞ散りける」という言葉を使った歌の一覧については 117番の歌のページを参照。また、「嵐/山風」を詠った歌の一覧は 394番の歌のページを参照。

  「あへず」という言葉を使った歌の一覧については 7番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/19 )   
(改 2004/03/11 )   
 
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