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       人の花山にまうできて、夕さりつがたかへりなむとしける時によめる 僧正遍照  
392   
   夕暮れの  まがきは山と  見えななむ  夜は越えじと  宿りとるべく
          
     
  • まがき ・・・ 垣根
  詞書にある 「花山」とは遍照の寺である元慶寺(現在の京都府京都市山科区北花山河原町)のこと。遍照の元慶寺での歌としては、119番に「よそに見て  かへらむ人に  藤の花」という歌がある。 「夕さりつがた」とは 「夕方ごろ」ということ。

  歌の意味は、
夕暮れの垣根は山のように見えて欲しい、夜はとても越えられないと人がここに泊まっていってくれるように、ということである。古今和歌集の配列でいうと、一つ前の391番までは、旅に出る人への送別の歌が続いていたが、この歌から少し「離別」のニュアンスが変化している。

  また 394番には、遍照が雲林院親王(=常康親王)を引き止める 「花のまぎれに 君とまるべく」という歌がある。

  「見えななむ」は 「見え+な+なむ」で、「見ゆ」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の未然形+願望の終助詞「なむ」で、「見えて(しまって)ほしい」ということ。 「ななむ」が使われている歌には次のようなものがある。

 
     
392番    まがきは山と  見えななむ  僧正遍照
520番    こむ世にも  はやなりななむ  読人知らず
632番    よひよひごとに  うちも寝ななむ  在原業平
827番    けぬる泡とも  なりななむ  紀友則
854番    言の葉さへも  消えななむ  紀友則


 
( 2001/11/27 )   
(改 2003/12/21 )   
 
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