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       題しらず 読人知らず  
345   
   しほの山  さしでの磯に  住む千鳥  君が御代をば  八千代とぞ鳴く
          
     
  • さしでの磯 ・・・ 海や湖の方に突き出た磯
  
「しほの山のさしでの磯」に住む千鳥は、まさに、あなたの世を 「八千代」まで続くと鳴きます、という言葉通りの歌。 "しほの山" は地名のようであるが、その場所は不明。 "さしでの磯""も、そう呼ばれていた磯を指しているようにも思われる。

  言葉としては、はじめの三句の先頭が 「シーサ−ス」とサ行でなめらかにつながっているのが心地よく、先に 「千鳥」で 「千」を見せて、「御代(ミヨ)」を 「八千代(ヤチヨ)とぞ鳴く」という表現が面白く、それに 「しほの山」/「さしでの磯」という飾りまで付いているので、三十一文字が充実して見える。 「〜とぞ鳴く」という歌の一覧については 1034番の歌のページを参照。

  また、この歌の 「千−八千代」ということからは、次の歌も思い出される。

 
343   
   我が君は  千代に八千代に   さざれ石の  巌となりて  苔のむすまで
     

( 2001/11/29 )   
(改 2004/02/17 )   
 
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