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       題しらず 読人知らず  
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   我が君は  千代に八千代に  さざれ石の  巌となりて  苔のむすまで
          
     
  • さざれ石 ・・・ 細かい石
  
あなたの命は、細かい石が巌となってそこに苔が生えるまで千代、八千代に続いて欲しい、という歌。 「代」は 「世」と書かれることが多いが、何を基準として 「一代/一世」とするかが曖昧なので、意味はあまり変わらないであろう。

  言葉のかたまりとしては、「わが君」で一つ、「千代に八千代に」で二つ、「さざれ石−巌−苔がむす」で三つというかたちになっている。それを先頭を 「君が代」とすれば、「君が代−千代−八千代」/「さざれ石−巌−苔がむす」と三対三でバランスがとれるので、「代(世)」つながりということもあり、移行していったものかもしれない。

  日本の国歌の 「君が代」のオリジナル・バージョンとして有名な歌である。その作者が 「読人知らず」である点は興味深い。歌曲としての国歌 「君が代」は "巌となりて" が 「岩音鳴りて」と聞こえてしまうのであまり優れたものとは言えないような気がするが、それも一つの味であろう。

  また、
「古今和歌集全評釈(中)」 (1998 片桐洋一  講談社 ISBN4-06-205980-0) によれば、元永本などの伝本では二句目が「ちよにましませ」となっているそうである。

                   千代に八千代に
    我が君は                          さざれ石の  巌となりて  苔のむすまで
                   千代にましませ

 
( 2001/11/29 )   
(改 2004/03/13 )   
 
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