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       題しらず 読人知らず  
18   
   春日野の  とぶひの野守  いでて見よ  今いくかありて  若菜つみてむ
          
     
  • 今いくかありて ・・・ あと何日したら
  
春日野の「飛火野の野守」よ、出て見て欲しい、あと何日したら、若菜が摘めるだろうか、という歌。  "とぶひの野守" とは、飛火(=のろし)の野という名を持つ 「飛火野」の番人、管理人のこと。さあ飛び出して野の様子を見てくれ、見たら結果をすぐに烽火(のろし)を上げて伝えてくれ、という感じか。野遊びの時期を待って、心せく感じを表している。

  "若菜つみてむ" の 「てむ」は 「〜ができるだろう」ということ。 20番の歌にもあるが、「ワ・カ・ナ・ツ・ミ・テ・ム」という言葉の転がり具合が面白い。古今和歌集の中でこの歌と同じように 「守」に呼びかけているかたちの歌は、天の河を渡る舟の梶を隠して欲しいと言う 174番の歌の他に次の二つがある。

 
632   
   人知れぬ  我がかよひぢの  関守は   よひよひごとに  うちも寝ななむ
     
904   
   ちはやぶる  宇治の橋守   なれをしぞ  あはれとは思ふ  年のへぬれば
     
        「いくか(幾日)」という言葉は次のような歌で使われている。 「いくよ(幾世)」という言葉を使った歌の一覧については 905番の歌のページを参照。

 
     
18番    今いくかありて  若菜つみてむ  読人知らず
133番    春はいくか  あらじと思へば  在原業平
428番    今いくか  春しなければ うぐひすも  紀貫之


 
( 2001/07/19 )   
(改 2004/03/07 )   
 
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