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       寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた 紀友則  
13   
   花の香を  風のたよりに  たぐへてぞ  うぐひすさそふ  しるべにはやる
          
     
  • たより ・・・ 使者
  • たぐへて ・・・ 連れ添わせて
  • しるべ ・・・ 道案内
  
風の使者に花の香りを連れ添わせて一緒にウグイスを招く道案内として送ろう、という歌で、使われている言葉は古いが、内容がわかると童話のような雰囲気がある。"風のたより" は 「手紙」のイメージにも掛けられていて、花の香りをつけた文を送るという二重のイメージを持っている。

  同じ友則の歌として、274番の 「白妙の袖」や 991番の 「斧の柄」の歌があり、話仕立ての歌が得意だったのかもしれない。また、どこに「たより」を送ったかということをはっきりさせるために、古今和歌集の配列ではこの歌を 12番の源当純(まさずみ)の歌と次の大江千里の歌の間に配しているようにも思われる。

 
14   
   うぐひすの  谷 よりいづる  声なくは  春くることを 誰か知らまし
     
        「しるべ」という言葉を使った歌には次のようなものがある。

 
     
13番    うぐひすさそふ  しるべにはやる  紀友則
472番    風ぞたよりの  しるべなりける  藤原勝臣
477番    思ひのみこそ  しるべなりけれ  読人知らず
727番    海人の住む  里のしるべに あらなくに  小野小町


 
( 2001/11/15 )   
(改 2004/01/13 )   
 
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