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       題しらず 読人知らず  
1017   
   秋くれば  野辺にたはるる  女郎花  いづれの人か  つまで見るべき
          
     
  • たはるる ・・・ 戯れる (戯る)
  
秋が来れば野辺で戯れるオミナエシ、誰が摘まずに見ていられようか、という歌。 "つまで" に
 「摘む」と 「抓む(=つねる)」を掛けている。 「で」は打消しの接続助詞。 「摘まないで/つねってみないで」ということ。 「端(つま)で」ということではないようである。この打消しの 「で」は、537番の「言は心に 思ひこそすれ」、629番の「渡らやまむ ものならなくに」、 797番の「色見え うつろふものは」などでも使われている。

  どうでもいいような戯れ歌だが、「つねる」ということを詠った誹諧歌にはもう一つ 1031番の藤原興風の「人もつむやと」という若菜を使った歌があり、「野辺でつむ(つねる)」という表現が面白く思われていたのであろう。

 
( 2001/12/06 )   
(改 2004/02/13 )   
 
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