Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十九

       題しらず 素性法師  
1012   
   山吹の  花色衣  主や誰  問へど答へず  くちなしにして
          
        山吹の花の色の衣よ、お前の主は誰、と聞いても答えない、口が無いという名のクチナシで染めたものだから、という歌。クチナシ(Gardenia jasminoides)といえば白い花を思い浮かべるが、ここではその実から染められる黄色い色を指す。 「くちなし」を使った歌としては、同じ誹諧歌に次の読人知らずの歌もある。

 
1026   
   耳なしの  山の くちなし   えてしかな  思ひの色の  下染めにせむ
     
        また、 "主や誰" という言葉を使った歌には、873番の源融(みなもとのとほる=河原左大臣)の「主や誰  問へどしら玉  言はなくに」という歌がある。

 
( 2001/11/28 )   
(改 2003/02/13 )   
 
前歌    戻る    次歌