Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十七

       題しらず 読人知らず  
896   
   さかさまに  年もゆかなむ  とりもあへず  すぐる齢や  ともにかへると
          
     
  • とりもあへず ・・・ つかまえておくこともできないで
  
逆さまに年が進んでほしい、そうすれば、つかまえておくこともできずに過ぎてゆく自分の年齢が、一緒に戻ってゆくかもしれないから、という歌。ニワトリを追いかけている老人のイメージか。 
「往き−過ぎ−帰る」という三つの行動の動詞を使い、 "かえる" には 「若返る」というニュアンスを含めているのであろう。

  "とりもあへず" は 「とり+も+あへず」で、「とりあへず」という言葉は 420番の「このたびは ぬさもとりあへず たむけ山」という菅原道真の歌では 「用意できない」というニュアンスで使われているが、この歌の場合は、どちらかというと「捕る」で、それを 「歳をとる」に掛けているような感じである。続く 897番の「とりとむる」という言葉に近いと思われる。 「あへず」という言葉を使った歌の一覧については 7番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/29 )   
(改 2004/01/30 )   
 
前歌    戻る    次歌