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       題しらず 読人知らず  
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   いそのかみ  ふるから小野の  もとかしは  もとの心は  忘られなくに
          
     
  • ふるから ・・・ 古い幹
  • もとかしは ・・・ 冬になっても落ちない柏の葉 (本柏)
  • むすびし ・・・ 手ですくった (掬ぶ)
  
冬になっても落ちない古い幹の「もとかしは」のように、いつまでたっても元の心はわすれられないのだな、という歌。 「古くから−ある−もとの心」ということを三十一文字に乗せたものであろう。

  "いそのかみ" は続く 「ふる」を出すための枕詞。 「いそのかみ」という言葉を使った歌の一覧は 
870番の歌のページを参照。 「から」は 「幹(から)」と解釈されるのが一般的である。万葉集・巻十一2759番の歌に次のような歌がある。

    我が宿の 穂蓼(ほたで)古幹(ふるから) 摘み生(おほ)し 実になるまでに 君をし待たむ

  「小野」は地名とも野原という一般的な言葉とも取れる。歌の意味とは別に 「石上−布留−小野」という 「薄い掛かり」があるようである。 "もとかしは" は、大嘗会の時に酒に浸して神に供えるために使われる柏の葉を指す言葉でもあるようだが、この歌では直接は関係がないと思われる。

  "忘られなくに" は 「忘ら+れ+なくに」で、四段活用の 「忘る」の未然形+可能の助動詞「る」の未然形+否定の詠嘆を表す 「なくに」。 「〜なくに」という言葉を使った歌の一覧は 19番の歌のページを参照。 「もとの心」という言葉を使った歌の一覧については、651番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/11 )   
(改 2004/03/10 )   
 
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