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       題しらず 藤原興風  
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   うらみても  泣きても言はむ  方ぞなき  鏡に見ゆる  影ならずして
          
        恨んでも泣いてもそれを伝える先がない、鏡に映る影ではないので、という歌。 「言はむ方」の 
「方」は、「方向」とも 「手段」ともとれ、この歌の場合どちらでも意味は通りそうである。 「方」という言葉を使った歌の一覧は 201番の歌ページを参照。

  また、"鏡に見ゆる  影ならずして" という部分は、「鏡に見ゆる影=自分の姿/ならずして」から 「鏡に映る自分の他は」のようにも見えるが、「(相手が)鏡に映る影ではないので」ということであると思われる。どちらでも同じようなものだが、じっと鏡を見つめて、そこに映っている自分の顔を 「何だコイツ」と思っているような雰囲気として見てみたい。

 
( 2001/11/08 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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