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       題しらず 読人知らず  
711   
   いで人は  ことのみぞよき  月草の  うつし心は  色ことにして
          
     
  • いで ・・・ さあ、さても
  • 月草 ・・・ ツユクサ
  • うつし心 ・・・ 本心 (現し心)
  
さて、言葉だけではいいことを言って、本心は別のくせに、という歌。ここでの"人"は、「人というもの」あるいは 「あの人」とも考えられるが、「あなた」と相手を指しているものであろう。 42番の貫之の「人はいさ 心も知らず」という歌の 「人」と同じである。

  "月草の うつし心" は、月草の 「移し」(=花の色を染み込ませておいて、必要な時にそれで衣を染められるようにしてある布や紙のこと)と 「現し心」をかけている。 「月草」という言葉は、次の秋歌上にある読人知らずの歌でも使われている。

 
247   
   月草に   衣はすらむ  朝露に  濡れてののちは  うつろひぬとも
     
        「いで」という言葉を使った歌の一覧は 508番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/08 )   
(改 2004/02/18 )   
 
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