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       題しらず 読人知らず  
710   
   たが里に  夜がれをしてか  郭公  ただここにしも  寝たる声する
          
     
  • 夜がれ ・・・ 夜通わないこと (夜離れ)
  
どこのお里に「夜がれ」をしてやって来たのか、ホトトギスは、ただこの宿で寝ぼけた声を上げている、という歌。たまに訪れた男を皮肉っている歌である。

  「寝たる」の 「たる」は、完了の助動詞「たり」の連体形。恋歌の中に置かれているので、外から呼ぶ声を譬えたものか。誹諧歌であれば、用事が済んだら高いびきをかいて眠っている男の姿にも見えるところである。誹諧歌の中に 「いびき」はないが 「くしゃみ」の歌は次のようなものがある。

 
1043   
   いでてゆかむ  人をとどめむ  よしなきに  となりの方に  鼻もひぬかな  
     

( 2001/11/22 )   
(改 2004/01/09 )   
 
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