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       題しらず 壬生忠岑  
592   
   たぎつ瀬に  根ざしとどめぬ  浮草の  浮きたる恋も  我はするかな
          
     
  • たぎつ瀬 ・・・ 水が激しく流れる川瀬
  
激しい川の流れに、根をはるわけでもなく浮いて弄ばれる、浮草のような迷うばかりの恋をしていることかな、という歌。

  浮草の恋歌としては 938番の小野小町の「わびぬれば 身を浮草の 根を絶えて」が有名だが、おそらく忠岑の歌はその小町の歌をふまえて、 "浮きたる恋" (=心が定まらず思い惑う恋)に仕立てたものであろう。 「浮草」を使った歌としては、次のような読人知らずの歌もあり、その 「淵」に対して、"たぎつ瀬" と持ってきているようにも見える。またこれら二つの歌からは、493番の読人知らずの「たぎつ瀬の なかにも淀は ありてふを」という歌が思い出される。

 
538   
   浮草の   上は しげれる   淵なれや  深き心を  知る人のなき
     
        "浮きたる恋も" の 「も」のニュアンスがわかりづらいが、これは次の友則の歌にもある 「恋もするかな」の間に 「我は」が入ったかたちであり、「も」には特に意味が無いように思われる。あえて言えば「そんな恋もするものだ」という感じか。

 
565   
   川の瀬に  なびく玉藻の  み隠れて  人に知られぬ  恋もするかな  
     
        「恋もするかな」という言葉を使った歌の一覧は 490番の歌のページを参照。

 
( 2001/08/20 )   
(改 2003/12/29 )   
 
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