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       題しらず 読人知らず  
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   種しあれば  岩にも松は  おひにけり  恋をし恋ひば  あはざらめやは
          
        種さえあれば岩にも松は生えるもの、恋しい気持ちを貫けば逢えないことがあるものか、という歌。強力な信念を持とうという歌である。古今和歌集の駄洒落から言えば、「松」が生えても 「待つ」ばかり、という気はするが、それでも待ちに待って逢おうとするような力強さが "恋をし恋ひば" 
という言葉から感じられる。

  最後の 「やは」は詠嘆のニュアンスを含んだ反語。 「やは」を使った歌の一覧は 106番の歌のページを参照。他に 「種」と 「松」の歌としては、907番に「梓弓 磯辺の小松」という歌がある。

 
( 2001/11/20 )   
(改 2004/02/11 )   
 
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