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       題しらず 読人知らず  
289   
   秋の月  山辺さやかに  照らせるは  落つるもみぢの  数を見よとか
          
     
  • さやかに ・・・ はっきりと、明るく (清か)
  
秋の月が山のあたりをこんなにもはっきりと照らしているのは、落ちる紅葉の数を見よということか、という歌。 "数を見よ" に含まれている気持ちは、名残おしくということであろう。 191番の「飛ぶ雁の 数さへ見ゆる 秋の夜の月」、281番の「夜さへ見よと 照らす月影」という歌を連想させる。

  「落つるもみぢ」つながりで、この歌の「月のさやけさ」と 304番の躬恒の「散らぬ影さへ 底に見えつつ」という歌の 「水の清らかさ」と合わせて見ても面白い。 「清か」(=はっきりとしている)ということを詠った歌の一覧は 169番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/12 )   
(改 2004/01/26 )   
 
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