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       奈良のみかどの御うた 奈良帝  
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   ふるさとと  なりにし奈良の  みやこにも  色はかはらず  花は咲きけり
          
        古里となった奈良の都にも、色は変わらずに花が咲いたことだ、という歌。古くなれば色褪せるのが普通なのに、という含みがある。

  詞書でこの歌の作者とされている 「奈良のみかど」とは平城天皇(774 - 824)であり、本当にこの歌が平城天皇のものかどうかは別として、薬子の変(810年)で、重祚して平城京に都を戻そうとしたという事実は、この歌の雰囲気と合う。

  他に 「奈良のみやこ」を詠んだ歌としては、次の二条(二条の后とは別人で、源至の娘と言われる)の歌がある。

 
986   
   人ふるす  里をいとひて  こしかども  奈良のみやこも   うき名なりけり
     
        また詞書で別の背景を示してはいるが、42番の貫之の「人はいさ 心も知らず ふるさとは」という歌は、この 「奈良のみかど」の歌をベースにしているようにも思われる。

 
( 2001/10/22 )   
(改 2004/03/11 )   
 
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