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       雪の木にふりかかれるをよめる 素性法師  
 
   春たてば  花とや見らむ  白雪の  かかれる枝に  うぐひすの鳴く
          
        立春になったので、花と見たのか、白雪のかかっている枝にウグイスが鳴く、という歌。

  この歌とほとんど同じ「雪の木に降りかかれりけるをよめる」という詞書を持つものに 331番の貫之の「冬ごもり 思ひかけぬを 木の間より」という歌があり、そちらは冬歌に分類されている。素性法師は生没年不詳。僧正遍照の子で石上の良因院に住んだ。

  立春になったので白雪を花と見てウグイスが鳴くのか、という発想は平凡だが、言葉の組み合わせから見ると、「白雪」越しに「春−花−鶯」という春のセットがきちんと揃っており、同じセットを持つ 10番の歌や 15番の歌と合わせて見ると面白い。

 
       
     
また、言葉の使い方の点からは次の躬恒の歌と並べて見たい。

 
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   春くれば    雁 かへるなり  白雲の   道ゆきぶりに  ことやつてまし
     

( 2001/12/07 )   
(改 2003/10/10 )   
 
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