Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十八

       返し 宗岳大頼  
979   
   君をのみ  思ひこしぢの  白山は  いつかは雪の  消ゆる時ある
          
        あなただけをずっと思ってやってきたこの私のいた越の国の白山では、雪が消えることなどありませんよ、という歌。

  一つ前の 978番の歌で躬恒が「君が思ひ 雪とつもらば たのまれず」と憎まれ口をたたいたことに対する答えである。  「白山」は現在の富山・石川・福井・岐阜県にまたがる白山(はくさん)のことで、「白山」を詠った歌の一覧は 383番の歌のページを参照。

  躬恒の「君が思ひ」という出だしに対して "君をのみ" と返し、「思ひ来(く)」(=ずっと思い続ける)を 「越路」の 「こし」につなげて 「思ひこしぢ」とつなげている。最後の "消ゆる時ある" はどこか舌ったらずな感じがするので、高野切などにあるように 「消ゆる時ある」であった方が調べがよいように思われる。

 
( 2001/11/19 )   
(改 2004/02/09 )   
 
前歌    戻る    次歌