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       題しらず 読人知らず  
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   世の中は  昔よりやは  うかりけむ  我が身ひとつの  ためになれるか
          
        世の中は昔から辛いものだったのか、それとも自分のためにそうなったのだろうか、という歌。

   「我が身ひとつ」という言葉を使った歌の一覧は 747番の歌のページを参照。他の人たちは自分ほど辛いと思っていないらしいが、というニュアンスであろう。

  "昔よりやは" の 「やは」を単なる疑問と見る説と反語と見る説がある。どちらでも意味が通り、それはその後ろの "なれるか" の 「か」の解釈とも関係する。 "なれるか" の 「なれる」は 「なれ+る」で、「成る」の未然形+完了の助動詞「り」の連体形。終助詞「か」は、"昔よりやは" の 「やは」を疑問と見るなら疑問、反語と見るなら詠嘆の意味と見るのが自然か。 「やは」を使った歌の一覧については 106番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/28 )   
(改 2004/02/11 )   
 
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