Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十六

       あねの身まかりにける時によめる 壬生忠岑  
836   
   瀬をせけば  淵となりても  淀みけり  別れを止むる  しがらみぞなき
          
     
  • せけば ・・・ 堰き止めれば
  • しがらみ ・・・ 流れをさえぎる柵
  
早い川瀬を堰き止めれば、深い淵となっても淀むだろうが、人の別れを止める「しがらみ」というものはないのだ、という歌。歌の前半は、早く強い流れでも堰き止められれば、その力で川底を掘り、最後には 「淵」となって水が 「淀んで」止まるだろう、ということを言っている。

  「川」ということからは、この歌の 「姉」に対して 「いもうと」の死を悼む 829番の小野篁の歌が思い出されるが、そちらは 「わたり川」(=三途の川)の増水を願うものであり、少し感じが異なる。この歌には 「涙を我慢して堪えれば、永遠の別れが止められるものなら、そうもしようが...」というニュアンスが込められていると思われる。 「瀬」と 「淵」をペアで使っている歌の一覧は 493番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/14 )   
(改 2004/03/10 )   
 
前歌    戻る    次歌