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       題しらず 読人知らず  
772   
   こめやとは  思ふものから  ひぐらしの  鳴く夕暮れは  立ち待たれつつ
          
     
  • こめや ・・・ 来るだろうか (来めや)
  
来るだろうか、いや来はしまい、と思うのだけれど、ひぐらしが鳴く夕暮れは、自然とあなたの訪れが立ち待たれてしまいます、という歌。

  "こめや" の「や」は反語を表している。 「立ち待つ」は文字通り 「立って待つ」ということ。 "立ち待たれつつ" の 「れ」は自発を表す助動詞「る」の連用形。 「待たる」(=自然と待ってしまう)という言葉を使った歌には、 774番の「待たるることの まだもやまぬか」という歌と、 775番の「月夜には 来ぬ人待たる」という二つの読人知らずの歌がある。

   "思ふものから" の 「ものから」は、ここでは 「〜だけれども」という逆接表現である。 「ものから」という言葉を使った歌の一覧については 147番の歌のページを参照。 また、この歌の一つ前には、物名のように 「ひぐらし」を詠みこんだ次の遍照の歌がある。

 
771   
   今こむと  言ひて別れし  あしたより  思ひくらしの   音をのみぞ鳴く
     
       「ひぐらし」を詠った歌の一覧は、その 771番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/04 )   
(改 2004/03/10 )   
 
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