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       題しらず 凡河内躬恒  
600   
   夏虫を  何か言ひけむ  心から  我も思ひに  もえぬべらなり
          
     
  • 心から ・・・ 自ら
  
火に自ら飛び込んで焼かれる夏虫のことを馬鹿にしていたが、今や私も自分から飛び込んだ恋の「思ひ」に身を焼かれている、という歌。 "何か言ひけむ" とは抽象的でわかりづらいが、バカな虫だと嘲笑ったか、という感じだろうか。説話・物語的に言えば、その身が虫にすり替わってしまったというお話のようにも見える。ちなみに古今和歌集の中で 「夏虫」のことを言っている歌は他には、544番の読人知らずの歌と 561番の友則の歌だけである。

  "心から" という言葉は、同じ躬恒の 608番の歌にある「我が心から 見つるなりけり」と同じニュアンスであろう。この歌と同じく単体で使われている例としては、422番の藤原敏行の 「うぐひす」の物名の歌に「心から 花のしづくに そほちつつ」というものがある。 「べらなり」という言葉を使った歌の一覧については 23番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/15 )   
(改 2004/01/06 )   
 
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