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       題しらず 読人知らず  
545   
   夕されば  いとどひがたき  我が袖に  秋の露さへ  置きそはりつつ
          
     
  • 夕されば ・・・ 夕方になると
  • いとど ・・・ いっそう
  
夕方になればいっそう涙で湿る私の袖に秋の露さえ加わって濡らしている、という歌。秋の夕べは特に悲しい、ということで、続く 546番と並べて置かれている。秋歌にあってもおかしくないが、これは 542番から始まる恋歌一の最後に設けられた四季シリーズの歌の一つである。

  秋の露で袖が濡れる、それは私の涙だ、と直接言わず、その露が置こうとする場所は、すでに自分の涙で充分濡れている、それほど逢えなくて寂しいのだ、と回して言っている。 「夕されば」という言葉を使った歌の一覧は 317番の歌のページを参照。 "いとど" という言葉を使った他の歌としては、雑歌下に 971番の業平の「いとど深草 野とやなりなむ」という歌がある。

  「さへ」を使った歌の一覧は 122番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/06 )   
(改 2004/03/10 )   
 
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