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     巻四  秋歌上

 0169  秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる  藤原敏行
   タトトトト。タトトタトトト、トタトトト。トタタタタトト、トタタタタタト。
 0170  川風の 涼しくもあるか うちよする 浪とともにや 秋は立つらむ  紀貫之
   トタトトト。トタタトトタトト。トタタタト。トタトトトトト、タトトトタタト。
 0171  我が背子が 衣の裾を 吹き返し うらめづらしき 秋の初風  読人知らず
   タトトトト。トタタタタタタ。トタタトト。トタタタタトト。タトトトタトト。
 0172  昨日こそ 早苗とりしか いつの間に 稲葉そよぎて 秋風の吹く  読人知らず
   トタトトト。トタタトタトト、トタタタタ。タトトトタトト、トタトトトタト。
 0173  秋風の 吹きにし日より 久方の 天の河原に 立たぬ日はなし  読人知らず
   トタトトト。トタタトタトト。トタタタタ。タトトトタタタ、トタトタトトト。
 0174  久方の 天の河原の 渡し守 君渡りなば かぢかくしてよ  読人知らず
   トタタタタ。タトトトタタタ、トタタトト。トタタタタトト。タトトタトトト。
 0175  天の河 紅葉を橋に わたせばや 七夕つめの 秋をしも待つ  読人知らず
   トタタトト。タトトトトタト。トタタトト。トタタタトトト。タトトタトタト。
 0176  恋ひ恋ひて あふ夜は今宵 天の河 霧立ちわたり 明けずもあらなむ  読人知らず
   トタタトト。タトトトトトト。トタタトト。トタタタタタト。トタタトトタタト。
 0177  天の河 浅瀬しら浪 たどりつつ 渡りはてねば 明けぞしにける  紀友則
   トタタトト。トタタタタトト、トタタタト。トタタタタトト、トタトタトトト。
 0178  契りけむ 心ぞつらき 七夕の 年にひとたび あふはあふかは  藤原興風
   トタタタト。トタタトタトト。トタタタタ。トタトトタトト、タトトタトトト。
 0179  年ごとに あふとはすれど 七夕の 寝る夜の数ぞ 少なかりける  凡河内躬恒
   トタタトト。タトトトトタト。トタタタタ。トタタトタトト。トタタタタタト。
 0180  七夕に かしつる糸の うちはへて 年のを長く 恋ひや渡らむ  凡河内躬恒
   トタタタタ。トタタトタトト。トタタトト。トタタタタトト。タトトトタタタ。
 0181  今宵こむ 人にはあはじ 七夕の 久しきほどに 待ちもこそすれ  素性法師
   トタタタト。トタトトタトト。トタタタタ。トタタトトタト。タトトタトトト。
 0182  今はとて 別るる時は 天の河 渡らぬ先に 袖ぞひちぬる  源宗于
   タトトトト。トタタトトタト。トタタトト。トタタタタタタ。トタタトタタト。
 0183  今日よりは 今こむ年の 昨日をぞ いつしかとのみ 待ち渡るべき  壬生忠岑
   タトトトト。タトトトトトト。トタトトト。タトトトトタト。トタタタタタト。
 0184  木の間より もりくる月の 影見れば 心づくしの 秋はきにけり  読人知らず
   タトトトト。トタタトトトト。タトトトト。トタタタトトト、タトトタトトト。
 0185  おほかたの 秋くるからに 我が身こそ かなしきものと 思ひ知りぬれ  読人知らず
   トタタタタ。タトトトトトト。タトトトト。トタタトトタト。トタタタタタト。
 0186  我がために くる秋にしも あらなくに 虫の音聞けば まづぞかなしき  読人知らず
   タトトトト。タトトトトトト。トタタトト。トタタタトタト。タトトトタタト。
 0187  ものごとに 秋ぞかなしき もみぢつつ うつろひゆくを かぎりと思へば  読人知らず
   トタタトト。タトトトタタト、トタタタト。トタタタタトト。トタタトトタトト。
 0188  ひとり寝る 床は草葉に あらねども 秋くる宵は 露けかりけり  読人知らず
   トタトトト。トタタタトトト、トタトトト。タトトトトトト。トタタタタタト。
 0189  いつはとは 時はわかねど 秋の夜ぞ 物思ふことの かぎりなりける  読人知らず
   タトトトト。トタトトタトト、タトトトト。トタタタトトトト、トタタトタトト。
 0190  かくばかり 惜しと思ふ夜を いたづらに 寝て明かすらむ 人さへぞうき  凡河内躬恒
   タトトトト。タトトトタトトト、トタタタタ。トタタタタタト。トタトトトタト。
 0191  白雲に 羽うちかはし 飛ぶ雁の 数さへ見ゆる 秋の夜の月  読人知らず
   トタトトト。トタタタタタト。トタタトト。タトトトトタト。タトトタトトト。
 0192  小夜中と 夜はふけぬらし 雁がねの 聞こゆる空に 月渡る見ゆ  読人知らず
   トタトトト。タトトタタタト。トタタタタ。トタタタタトト。トタトトトタト。
 0193  月見れば ちぢにものこそ かなしけれ 我が身ひとつの 秋にはあらねど  大江千里
   トタトトト。タトトトタトト、トタタトト。タトトトタトト、タトトトトタトト。
 0194  久方の 月の桂も 秋はなほ もみぢすればや 照りまさるらむ  壬生忠岑
   トタタタタ。トタタタタタタ、タトトタト。タトトトタトト、トタタタタタト。
 0195  秋の夜の 月の光し あかければ くらぶの山も 越えぬべらなり  在原元方
   タトトトト。トタタタタタト、トタトトト。タトトトトタト。トタタタトトト。
 0196  きりぎりす いたくな鳴きそ 秋の夜の 長き思ひは 我ぞまされる  藤原忠房
   トタタトト。タトトトタトト。タトトトト。タトトトタタト、タトトトタタト。
 0197  秋の夜の 明くるも知らず 鳴く虫は 我がごとものや かなしかるらむ  藤原敏行
   タトトトト。トタタトトトト。トタタタタ。タトトトトタト。トタタタタタト。
 0198  秋萩も 色づきぬれば きりぎりす 我が寝ぬごとや 夜はかなしき  読人知らず
   トタタタタ。トタタタタトト。トタタトト。タトトタタトト。タトトトタタト。
 0199  秋の夜は 露こそことに 寒からし 草むらごとに 虫のわぶれば  読人知らず
   タトトトト。タトトトタトト。トタタタト。トタタタタトト。トタタトタトト。
 0200  君しのぶ 草にやつるる ふるさとは 松虫の音ぞ かなしかりける  読人知らず
   トタタタト。トタトトタタト、トタトトト。トタトトトタト。トタタタタタト。
 0201  秋の野に 道も惑ひぬ 松虫の 声する方に 宿やからまし  読人知らず
   タトトトト。トタタトタトト、トタトトト。タトトトトタト。タトトトタタト。
 0202  秋の野に 人まつ虫の 声すなり 我かとゆきて いざとぶらはむ  読人知らず
   タトトトト。トタタタトトト。タトトトト。タトトトトタト。タトトタタタト。
 0203  もみぢ葉の 散りてつもれる 我が宿に 誰をまつ虫 ここら鳴くらむ  読人知らず
   トタタトト。タトトトタタト、タトトトト。タトトトタトト、トタタトタタト。
 0204  ひぐらしの 鳴きつるなへに 日は暮れぬと 思ふは山の かげにぞありける  読人知らず
   トタトトト。トタタトタトト。トタタタタタ。トタトトトトト。タトトトトタタト。
 0205  ひぐらしの 鳴く山里の 夕暮れは 風よりほかに とふ人もなし  読人知らず
   トタトトト。トタタタタタタ。トタタタタ。トタタトトトト。タトトタトトト。
 0206  待つ人に あらぬものから 初雁の 今朝鳴く声の めづらしきかな  在原元方
   タトトトト。トタトトタトト、トタタタタ。タトトトタトト。トタタタトトト。
 0207  秋風に 初雁がねぞ 聞こゆなる たがたまづさを かけてきつらむ  紀友則
   トタトトト。トタタタタタタ。トタタトト。タトトタトトト。タトトトタタト。
 0208  我が門に いなおほせ鳥の 鳴くなへに 今朝吹く風に 雁はきにけり  読人知らず
   タトトトト。トタタタタトトト、トタタトト。タトトトトトト。タトトタトトト。
 0209  いとはやも 鳴きぬる雁か 白露の 色どる木ぎも もみぢあへなくに  読人知らず
   タトトトト。トタタトタトト。トタトトト。トタタトタトト。タトトトタトトト。
 0210  春霞 かすみていにし 雁がねは 今ぞ鳴くなる 秋霧の上に  読人知らず
   トタタトト。トタトトトタト。トタタタタ。タトトトタトト、トタトトトトタト。
 0211  夜を寒み 衣かりがね 鳴くなへに 萩の下葉も うつろひにけり  読人知らず
   タトトタト。トタタトタタタ、トタタトト。タトトトタタタ、トタタタトタト。
 0212  秋風に 声を帆にあげて くる舟は 天の門渡る 雁にぞありける  藤原菅根
   トタトトト。タトトタトトトト、タトトトト。タトトトトタタ。タトトトトタタト。
 0213  憂きことを 思ひつらねて 雁がねの 鳴きこそわたれ 秋の夜な夜な  凡河内躬恒
   タトトトト。トタタタタトト、トタタタタ。トタトトトタト。タトトトタトト。
 0214  山里は 秋こそことに わびしけれ 鹿の鳴く音に 目を覚ましつつ  壬生忠岑
   トタタタタ。タトトトタトト。トタタトト。トタタタタタト、タトトタタタト。
 0215  奥山に もみぢ踏みわけ 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋はかなしき  読人知らず
   トタトトト。タトトトタタト、トタタタタ。タトトトトタト。タトトトタタト。
 0216  秋萩に うらびれをれば あしひきの 山下とよみ 鹿の鳴くらむ  読人知らず
   トタタタタ。トタタタタトト。トタタタタ。トタタタトタト。トタタトタトト。
 0217  秋萩を しがらみふせて 鳴く鹿の 目には見えずて 音のさやけさ  読人知らず
   トタタタタ。トタタタタトト。トタタタタ。タトトトタトト、トタタトタタト。
 0218  秋萩の 花咲きにけり 高砂の 尾上の鹿は 今や鳴くらむ  藤原敏行
   トタタタタ。トタトタタタト。トタタタタ。トタトトトトト。タトトトタトト。
 0219  秋萩の 古枝に咲ける 花見れば もとの心は 忘れざりけり  凡河内躬恒
   トタタタタ。トタタタタタト。トタトトト。タトトトタタト、トタタトタトト。
 0220  秋萩の 下葉色づく 今よりや ひとりある人の いねがてにする  読人知らず
   トタタタタ。トタタタタタト、タトトトト。トタトタトトトト、トタタタタタタ。
 0221  鳴き渡る 雁の涙や 落ちつらむ 物思ふ宿の 萩の上の露  読人知らず
   トタタタト。タトトタトトト、トタタタト。トタタタトタトト、タトトトタタタト。
 0222  萩の露 玉にぬかむと とればけぬ よし見む人は 枝ながら見よ  読人知らず
   タトトタト。トタトトタタタ、タトトタト。タトトトトタト。トタタトトタト。
 0223  折りてみば 落ちぞしぬべき 秋萩の 枝もたわわに 置ける白露  読人知らず
   タトトトト。トタトトタタト、トタタタタ。トタタタタタタ、トタトトタトト。
 0224  萩が花 散るらむ小野の 露霜に 濡れてをゆかむ 小夜はふくとも  読人知らず
   タトトトト。トタタトトトト。トタタタタ。トタタトトタト。トタタタトトト。
 0225  秋の野に 置く白露は 玉なれや つらぬきかくる くもの糸すぢ  文屋朝康
   タトトトト。トタタタトトト。トタトトト。トタタタタタト。タトトトタトト。
 0226  名にめでて 折れるばかりぞ 女郎花 我おちにきと 人にかたるな  僧正遍照
   トタタトト。トタトタトトト、トタタトト。タトトタトトト。トタタトタタト。
 0227  女郎花 憂しと見つつぞ ゆきすぐる 男山にし 立てりと思へば  布留今道
   トタタトト。タトトトタトト、トタタタト。トタタタタタト、トタトトトタトト。
 0228  秋の野に 宿りはすべし 女郎花 名をむつまじみ 旅ならなくに  藤原敏行
   タトトトト。トタタタトタト。トタタトト。トタタタタタト。トタトタトトト。
 0229  女郎花 おほかる野辺に 宿りせば あやなくあだの 名をやたちなむ  小野美材
   トタタトト。トタタトタトト。トタタトト。タトトトタトト。トタトトタタト。
 0230  女郎花 秋の野風に うちなびき 心ひとつを 誰によすらむ  左大臣
   トタタトト。タトトタトトト、トタタタト。トタタトタトト、タトトトタタト。
 0231  秋ならで あふことかたき 女郎花 天の河原に おひぬものゆゑ  藤原定方
   タトトトト。タトトトトトト。トタタトト。タトトトタタタ、トタトトタトト。
 0232  たが秋に あらぬものゆゑ 女郎花 なぞ色にいでて まだきうつろふ  紀貫之
   タトトトト。トタトトタトト、トタタトト。タトトタトトトト、タトトトタタト。
 0233  つま恋ふる 鹿ぞ鳴くなる 女郎花 おのがすむ野の 花と知らずや  凡河内躬恒
   タトトトト。トタタトタトト、トタタトト。トタタタトトト、トタトトタトト。
 0234  女郎花 吹きすぎてくる 秋風は 目には見えねど 香こそしるけれ  凡河内躬恒
   トタタトト。トタタトトトト、トタトトト。タトトトタトト、トタトトタタト。
 0235  人の見る ことやくるしき 女郎花 秋霧にのみ 立ち隠るらむ  壬生忠岑
   トタタタト。トタトトタタト、トタタトト。トタトトトタト。トタタタタタト。
 0236  ひとりのみ ながむるよりは 女郎花 我が住む宿に 植ゑて見ましを  壬生忠岑
   トタトトト。トタタトタトト。トタタトト。タトトトタトト。トタタトタトト。
 0237  女郎花 うしろめたくも 見ゆるかな 荒れたる宿に ひとり立てれば  兼覧王
   トタタトト。トタタタタトト、トタトトト。トタタトタトト。トタトトタトト。
 0238  花にあかで 何かへるらむ 女郎花 おほかる野辺に 寝なましものを  平貞文
   トタトトタト。タトトタタタト。トタタトト。トタタトタトト。トタタトトタト。
 0239  なに人か 来て脱ぎかけし 藤ばかま 来る秋ごとに 野辺を匂はす  藤原敏行
   トタタタタ。タトトタタタト。トタタトト。タトタトトトト。タトトトタタト。
 0240  宿りせし 人の形見か 藤ばかま 忘られがたき 香に匂ひつつ  紀貫之
   トタタタト。トタタタタタト、トタタトト。トタタタタトト。トタタタタタト。
 0241  主知らぬ 香こそ匂へれ 秋の野に たが脱ぎかけし 藤ばかまぞも  素性法師
   タトトトト。トタトトタタト、タトトトト。タトトタタタト。トタタトトタト。
 0242  今よりは 植ゑてだに見じ 花薄 穂にいづる秋は わびしかりけり  平貞文
   タトトトト。トタタトトタト、トタタトト。タトトタトタトト、トタタタタタト。
 0243  秋の野の 草の袂か 花薄 穂にいでてまねく 袖と見ゆらむ  在原棟梁
   タトトトト。トタタタタタト、トタタトト。タトトタトトタト、トタタトタタト。
 0244  我のみや あはれと思はむ きりぎりす 鳴く夕影の 大和撫子  素性法師
   タトトトト。タトトトトタタト、トタタトト。トタタタタタタ。トタタトタトト。
 0245  緑なる ひとつ草とぞ 春は見し 秋は色いろの 花にぞありける  読人知らず
   タトトトト。トタタトタトト、タトトトト。タトトトタトトト、トタトトトタタト。
 0246  ももくさの 花のひもとく 秋の野に 思ひたはれむ 人なとがめそ  読人知らず
   トタタタタ。トタタタタタト、タトトトト。トタタタタタト、トタタトタタト。
 0247  月草に 衣はすらむ 朝露に 濡れてののちは うつろひぬとも  読人知らず
   トタタタタ。トタタタトタト。トタトトト。トタタトトタト。トタタタトトト。
 0248  里は荒れて 人はふりにし 宿なれや 庭もまがきも 秋の野らなる  僧正遍照
   トタタタタタ。トタタタタタト、タトトトト。トタタトタタタ、タトトタトトト。

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