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       伊勢うた 読人知らず  
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   おふのうらに  片枝さしおほひ  なる梨の  なりもならずも  寝てかたらはむ
          
     
  • 片枝さしおほひ ・・・ 片方の枝を覆って
  
「おふの浦」に片方の枝を覆うほどたくさん生っている梨は、「なし」なのに「なる」と言うけれど、二人の恋が実るか実らないかは、まずは一緒に寝て話し合おう、という歌。 「子供」が授かるかどうか、と言っているようにも見える。 「伊勢うた」ということで "おふのうら" (おふの浦)は伊勢の地名のようだが、その場所は不明。

 "さしおほひ" の 「さし」は強調のための接頭語。なぜ片方と特定しているのはわからない。細い枝にたわわに実っているイメージなのか、日当たりの加減でもう片方には生っていないというイメージを表わしているものなのか、あるいは 「おふの浦」でそういう生り方で有名な梨の木だったのか。

 
( 2001/11/26 )   
(改 2004/02/23 )   
 
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