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       題しらず 小野篁  
936   
   しかりとて  そむかれなくに  ことしあれば  まづなげかれぬ  あなう世の中
          
     
  • しかりとて ・・・ そのようだからといって (然りとて)
  • ことしあれば ・・・ 何か事があれば
  • あなう ・・・ ああ、嫌な (あな憂)
  
だからと言って、世にそむくわけにもいかないが、何かあればまず嘆きが先にたつ、ああ憂鬱な世の中だ、という歌。漠然とした歌だが、「そむく・事しあれば・嘆く」といった言葉が作者が遣唐使をボイコットした小野篁のイメージと重なるようなところもある。この歌の結び方は、恋歌五の最後の読人知らずの次の歌を思わせる。

 
828   
   流れては  妹背の山の  なかに落つる  吉野の川の  よしや世の中  
     
        "そむかれなくに" という言葉で使われている逆接の 「なくに」については、19番の歌のページを参照。また、「あな憂」の 「あな」という感嘆詞が使われている歌の一覧については 426番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/14 )   
(改 2004/02/13 )   
 
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