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       題しらず 読人知らず  
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   むら鳥の  立ちにし我が名  いまさらに  ことなしぶとも  しるしあらめや
          
     
  • むら鳥 ・・・ 群れている鳥 (群鳥)
  • ことなしぶ ・・・ 何ごともなかったかのように振舞う
  • しるし ・・・ 効果
  
群れた鳥が飛び立つように一斉に広がってしまった私の噂、今更何ごともなかったかのように振舞っても、何の効果があるでしょうか、という歌。

  「群鳥の」という言葉は 「発つ/立つ」の枕詞であるが、この歌ではそのイメージをうまく使っていて歌がわかりやすくなっている。 「ことなしぶ」は 「事無し+ぶ」で、「ぶ」は 「〜のような状態にある」ということを表す接尾語。古今和歌集の中のその他の歌で使われている例はない。

  「しるしなし」という言葉が使われている他の歌には、64番の「散りぬれば 恋ふれどしるし なきものを」という読人知らずの歌と、110番の「しるしなき 音をも鳴くかな うぐひすの」という躬恒の歌がある。

 
( 2001/12/04 )   
(改 2004/01/07 )   
 
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