Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十二

       題しらず 凡河内躬恒  
584   
   ひとりして  物を思へば  秋の夜の  稲葉のそよと  言ふ人のなき
          
        一人で物思いにふけっている時は、稲葉がそよぐ音のように、「そよ」と言ってくれる人がいない、という歌。 「そよ」は葉が風にそよぐ擬音と、「そうであるよ」(That's it !)ということを掛けてある。何について「そよ」と言ってほしいのか、抽象的でわかりづらいが、自分の悩みをわかってくれる相談相手もいない、ということだろう。

  また、多くの伝本が "秋の夜の" という部分が 「秋の田の」となっている。意味的には明らかに 
「田」の方が "稲葉" と合うので自然だが、音的には 「夜」の方が 「そよ」の 「よ」と合うのような気がする。一長一短という感じか。

 
( 2001/12/10 )   
(改 2003/12/28 )   
 
前歌    戻る    次歌