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       題しらず 読人知らず  
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   散る花を  何かうらみむ  世の中に  我が身も共に  あらむものかは
          
        散る花をどうして恨もう、我が身もこの世の中にずっと一緒にいられはしないのだから、という歌。

 "あらむものかは" という反語が少しややこしい。 「あら+む+もの+かは」で、「在るだろうもの・であろうか(=いやない)」ということ。また "共に" という言葉も少し引っかかる。これは 「散る花と共に」では意味が通らないので、花が万一散らないとしても、それと共に我が身が永遠でいられるはずもない、つまり同じ大きな車輪の中で共に回っているのだ、ということであろう。

  この歌と似たような内容のものとしては、「我が身も草に 置かぬばかりを」という 860番の藤原惟幹(これもと)の「露」の歌がある。

 
( 2001/12/18 )   
(改 2003/10/21 )   
 
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